クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「ありがとう、ゆる。俺と一緒に見てくれて」
「えっ……」
あの早凪くんの口から、そんなセリフが出てくるなんて……と驚いて固まっていると。
目の前に影ができて、早凪くんの香りがフワッと香った。
ドーーーーンッという花火の打ち上がる音がしたけれど、目の前は花火の代わりに目をつぶった早凪くんの顔で視界はいっぱいになって。
柔らかい早凪くんの唇が、私の唇を塞いだ。
唇はすぐに離されたけれど、驚きで目を見開いて固まることしかできない。
どうして、こんなこと……。
「さ、早凪くん……なにして……」
「……なんとも思ってないわけないから」
「えっ……」
嘘……。
打ち上がった花火のせいなのか。
早凪くんの顔が、ほんのり赤い気がして。
それって、どういう……。
まさか……いやでも。
でも、もしそうなら、おかしい……。
だって、早凪くんは莉々ちゃんのことが……。