クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
話をしよう
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♪〜♪〜♪〜
花火が無事終わり、周りの人たちがぞろぞろと移動し始めると、早凪くんの持っていた巾着から着信音がしたので彼が電話を取った。
早凪くんの言動に、どうしていいか分からず戸惑っていたので、このタイミングの電話に正直ホッとする。
なんであそこでキスなんて……。
しかも、『なんとも思ってないわけない』ってどういう意味?
「えっ……莉々が?」
っ?!
電話をしていた早凪くんの声に、ビクッと反応してしまう。
「わかった、俺たちも今から帰るから」
早凪くんはそう言って電話を切ると、「急いで帰ろう」とだけ言って私の手首を掴んで歩き出した。
「ちょ、早凪くん……」
声をかけるけど、早凪くんは無言のまま帰り道を急ぐ。
え?何?莉々ちゃんに何かあったの?
早凪くんのあの慌てよう。
きっと、早凪くんが隣から消えてしまったのでそのせいでまた早凪くんの気を向けさせるようなことを言ったに違いない。
さっきまでの幸せだと思えた甘い時間が嘘のようだ。