クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
*
「莉々、何があったの……」
特別寮に帰るとリビングにみんなが揃っていた。
莉々ちゃんは一番奥のソファで俯いたまま座っているので顔がよく見えない。
早凪くんに名前を呼ばれてるのに無反応なんて、なんだか莉々ちゃんらしくない気がした。
「莉々ちゃん、下駄の鼻緒がずれてさ」
「だから、言わなくていいの!もう……こんな大げさにしなくていいのにっ!っていうか、なんで早凪も来ちゃうわけ」
え?
莉々ちゃんのセリフにすごく違和感を感じる。
この状況は、莉々ちゃんが作り出したことじゃないの?
莉々ちゃんの足元に目を向けると、本当に親指と人差し指の付け根が赤くなっていた。
痛そう……。
「手当しようって言ってるんだけど、莉々ちゃん全然しようとしなくて。早凪だったらできるかなって」
と困ったようにそういう瑛斗さん。
「……っ、そんなこと、早凪にさせるわけないでしょ?!」
特別寮の3人を前にして、莉々ちゃんがこんなに感情的に荒ぶってるところを初めてみた。