クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「俺が作れるんだから、ゆるちゃんなんてすぐだよ」
「そんなことないです!あ、でも、いつか教えてもらいたいです!あのエビチリ、パパにも食べさせてあげたい!」
「あぁ、いいよ。お父さん思いだねゆるちゃんは」
優しく微笑んでくれる明人さんの表情を見て、私の料理を食べて喜んでくれたパパの顔を思い出す。
理事長はお人好しなパパのことが嫌らしいけど、私は、パパのそんなところが一番好きだったりする。
「……ケーキ」
「え?」
ボソッと呟いた明人さんに聞き返す。
「あ、いや、思い出しちゃって。ゆるちゃん見てたら、自分の親のこと」
「明人さんのお母さんですか?」
「うん。ずっと、後悔してることがあるから」