クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
大切な、大好きな家族を失ってしまった人へ、なんて言葉をかけてあげたら正解なのか、私にはわからない。
その苦しみをまだ味わったことがないから。
想像だって怖くて出来ない。
「……っ、あ、ごめんね、ゆるちゃん。こんな話。ブルーになっちゃうよね。なんだろう、ゆるちゃんには自分の話、ベラベラ話しちゃ─────」
目から生暖かいものが溢れて、頬を伝う。
話してくれたのに、私はなにも言えないでいる。
「ご、ごめん、ゆるちゃん!ほんとごめん!泣かないで!もう大丈夫だから。もう10年も前の話だし、兄弟たちもみんな元気だから……」
辛い話をしてくれた明人さんに謝らせるなんてすごく申し訳ないのに止まらない。
明人さんのお母さんの気持ちも、明人さんの気持ちも、ちゃんと伝わったから。