クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「ありがとうゆるちゃん、本当優しいね。今日初めて会った人間の話を聞いて泣いてくれるなんて」
「……何も言えなくてすみません」
「ううん。違うよ。人間さ、辛い時とか苦しい時って、早く前を向くための方法を教えてもらうよりもまず、同じ温度で寄り添ってもらうことが大事なんだよ。一緒に泣いてもらって、辛かったねって抱きしめてもらう。それが一番の治療薬だよ。だから、ゆるちゃんは、俺の中の正解だよ」
「明人さんっ、」
得意なものなんて何もなくて、特に可愛いわけでもスタイルがいいわけでもスポーツや勉強が得意なわけでもない私のことを、明人さんは『正解』だって言ってくれた。
明人さんの『正解』になれたかもしれないこと、純粋に嬉しくて、温かくなる。
明人さんが思い切り笑った顔も、
寮のみんなの笑った顔も、
いつか、見てみたい。
心からそう思った。