クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


「ゆるの髪ってなんでこんないい匂いするの?」


人の話を聞いてよね……。
綺麗な顔してるからさらに緊張するっていうのに、こんな格好で近づいてくるとかっ!


「ス、スーパーで一番安いただのシャンプーだけど……」


「へー」


へーって、あ、そうか、セレブの宇垣くんにとってスーパーの安いシャンプーの香りなんて、嗅いだことないものなのか。


あっ、そうだ!今、宇垣くんに、あの話をする絶好のチャンスじゃないか!このよくわからない状態じゃなかったらもっといいんだけど……。


宇垣くんが急に変なことばっかりするからパニックで頭の中真っ白になってたよ。


「あのね、宇垣くん!」


「はい、着替えまーす」


宇垣くんがそう言って腰に巻いていたタオルに手をかける。


っ?!


なんてタイミングで着替えるのよ!
絶対今のわざとだよね?!


私は再び目をつぶって顔を手で覆う。


「はい、もういいよ」


そう言われて目を開けると、今度はしっかり服を着てフェイスタオルで髪の毛を拭く宇垣くんの姿。


「あ、あのね、宇垣くん」


「ん?」


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