クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
明らかに、服の上から触られている感覚ではない感触。
直接、早凪くんの手が、するりと私の服の中を通って、触れている。
「だって、早凪くん、手が」
小声で彼に訴える。
心臓はバクバクとうるさくて、一気に顔が熱を持つ。
こんなの、おかしいよ……。
「ゆるの肌、スベスベでもちもちだから。いい匂いだし、最高の抱き枕だよ」
「うぅ、もちもちって……」
遠回しに、肉付きがいいって言ってない?
しかも、人のこと抱き枕って、私人間なんだけど。
「たこ焼き、すごくおいしかったし、久しぶりに楽しかったよ」
「……っ、」
ずるい。
こんな状況でそういうことを言うなんて。
私が喜ぶことわかってて……。
「また、やろうね」
「うん私もすごく楽しかった。またやろうねっ。……それから、早く離し───」
『早く離して』そう言おうとしたら、すぐに、耳元でスースーと寝息が聞こえて。
嘘でしょ……。
「早凪……くん?」
「……」
えっと、ね、寝たの?
全く……。彼のマイペース加減には呆れるけれど、それでも、楽しいと言ってくれたことが嬉しくて、単純な私は、お腹に触れる彼の温もりを感じながら、ゆっくりと目をつぶってしまった。