クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
タオルケット……。
「これって……」
足元に落ちたタオルケットを拾って呟く。
タオルケットから、ふわっと甘い優しい香りが微かにした。
「あぁ、それ、早凪のだよ。ベッドにいつも置いている」
明人さんの言った『早凪』という名前に、トクンと脈打つ。
「多分、夜中に起きて持ってきてくれたんじゃない?ほんっと、ゆるちゃんのこととことん気に入ってるよね〜」
なんだか楽しそうにそういう翼くんの言葉に、顔がまた火照る。
早凪くんに抱きしめられたのが、私の夢じゃなかったら、早凪くんは、あの後また起きたってことなのかな?
わざわざ部屋に戻って私にかけてくれたことに正直嬉しくなる自分がいるのと同時に、良く眠れていないのは本当なんだな、と心配になる。
成長期に寝不足なんて、良くないのに。
「あの、早凪くんは?」
「部屋でまだ寝てるんじゃないかな。今日は学校は無理そうだね」
明人さんはそう言って私の手からタオルケットをするりと取って手際よく畳む。
そっか……。
お礼言いたかったけど、学校から帰ってきてからになるかな。