俺の彼女は、キスができない。
ドサッ。
ゆっくんに、倒されてしまった。
クビキスは、まだ続くらしい。
別に、嫌じゃないけど。
「…んっ………ひ…ゃ……」
でも、声が出るのは恥ずかしい!
私は、口元を手で塞ぐ。
すると、ゆっくんの顔が歪む。
え?なんで?
ゆっくんは、私の口元を塞ぐ手をどけた。
「声………聞かせろよ」
ゆっくんの目は、どこか真剣。
私は、顔を真っ赤に染めた。
「やだ………」
私は涙目になりながら、そっぽを向いた。
「キス…しても……いいのか…?」
と言いながら、私の頬に伝う涙を拭う。
「それは……イヤ………」
「だったら、声、聞かせろ。俺のことを煽る。その声を」
私はその言葉に、ビクッと反応した。
「あ、煽ってなんか………」
「煽ってるよ。お前の声はな。だから、誰にも聞かせるな。俺だけに、聞かせろ」
「う……うん…」
ドキドキ。
心臓の音が、ゆっくんに聞こえてしまうんじゃないかと、心配してしまう。

ゆっくんだけだよ。この声が、聞けるのは。

君だけのものだから。
< 12 / 62 >

この作品をシェア

pagetop