俺の彼女は、キスができない。
数日後。
俺は、柚子が入院している病院に通っていた。
俺の母親と柚子の母親が仲良しで、俺達の関係もバレていたらしく、柚子がいる病院をそのツテで教えてもらった。
ホントに、幸いだった。

母親同士が、仲良しで良かったよな。柚子。
そう思いながら、ベットで寝ている柚子の頭を撫でる。
寝顔、初めて見るな。可愛い。すごく気持ち良さそうに、寝ている。
心配でもあるが、理性がくすぐられてしまう。
キス、したいな。
あ、キスか。そういえば、キスは無理とか言ってたな。理由は、忘れたけど。でも、どうしてダメなんだ?
そういう決まりがあるわけでも、なさそうだ。
じゃ、なんでだ?

ゆっちゃんを見ていると、柚子のお母さんがやって来た。
「あら、今日も来てたのね。柚希くん」
「あ、はい。お邪魔してます」
「いいのよ。あ、そうだわ。はい、これ」
と包みに入った袋を、俺の前に出す。
なんだろ?
袋を手に取る。
「それはね。柚子が素直になったときに、あげると良いわよ♪この子、可愛いから」
「あ、はい。分かりました」
俺は、受け取った袋をポケットにしまった。


そのとき。
「ここ……は……?」
と目をこすりながら、ゆっちゃんが目を覚ました。
柚子のお母さんは、涙が出そうな感じ。
「お……かあ…さん………?」
「そ、そうよ?分かる?」
「う…ん……」
それを聞くと、柚子のお母さんは走っていった。
きっと先生でも、呼ぶんだろ。
ドアから視線を外し、柚子を見る。
すると、ゆっちゃんの顔を歪んだ。
あれ?なんでだ?
どうして、顔を歪める?

俺は、次のゆっちゃんの言葉に、血の気が引いた。











「あなた、誰なの?」
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