俺の彼女は、キスができない。
いきなりですが。
私は、ただいま襲われてます!
ウギャァァァ!離してぇぇぇ!
でも、
「ひゃ………や……ぃや………」
生々しい声が、どうしても出てしまう。
恥ずかしい!
っていうか、なんで柚希くんと!?
絶対に、ない!
口を手で塞ぐ。
「お前、何も変わってねーな」
え?私は、君を知らないのに。どうして、君は私を知ってるの?
『お前、何も変わってねーな』なんて。
まるで、私を昔から知っているかのように、君はそう言う。
「知ってるの?私を」
そう言うと、柚希くんは真実を話してくれた。
「知ってるも何も、俺達は付き合ってたんだぜ?」
え?
今、なんて言った?
付き合ってた?私と、柚希くんが?
そ、そんなの!冗談だよね!
「冗談は、やめてよ。ふふっ」
「冗談なんかじゃねーよ」
柚希くんは、強引に私の唇を奪った。
「え……?ちょ……ぃや……ん……っ」
またしても、生々しい声が。
息をしようと、口を開けたとき。
「はぁ………ぁ……っん…」
柚希の舌が入ってきて、私の舌を絡ませる。
涙が視界をボヤかせる。

しばらくして、柚希くんが離れた。
「はぁ……ぁ……はぁ…」
息を吸ったり、吐いたり。
荒い息を、整える。
私の瞳から、雫が溢れる。
柚希くんが、その雫を拭ってくれた。
私は、そのときビクッと反応した。
なぜか、この人とはキスをしてはいけない気がする。
根拠は、ないけど。とにかく、危険だ。
私は、ダメな気がした。
だから、
「離れ…て……。キス、したくない」
と言った。
すると、柚希くんは、
「お前、何も変わってないよ。俺が、保証する」
なんてことを、言い出した。
は?保証?
アンタなんかに、保証されたくないわよ!
「保証とか、良いから!ほら、帰って」
とそっぽを向いた。
「いいよ。 また来るし」
と去っていった。

あ。行っちゃった。
また、独りになっちゃった。
まぁ、良いけど。
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