俺の彼女は、キスができない。
アイツ、今、どうしてるだろ。
元気だよな。
俺みたいな、最低なヤツがいなくなってよ。

「柚希ー?また行かないのー?」
と言うのは、俺の母親。
「行かなーい」
気を遣っているらしく、俺を風邪とか頭痛とかで、休ませている。
今日で、一週間か。
結構休んでるな。
これは、絶対、留年になるよな。
はぁー。
ふと机に置いてあるスマホを、見る。
メールか。
でも、ダメだ。
送れるわけ、ないだろ。
自分でも資格なんてないって、分かってるのに。バカかよ。
付き合うつもりはないけれど、攻めても話がしたい。
アイツに、謝りたい。
そうしなきゃ、アイツが幸せにならないだろう。忘れることもできないし。

そのとき。
「ぐぅー」
お腹が減ってしまった。
コンビニで、なんか買ってくるか。
財布とスマホを持ち出し、外に出た。
いつぶりだろ。外に出るのは。
あれ以来、ずっと部屋にこもってたからな。
久しぶりだ。


「ありがとうございましたー」
と店員の声と共に、自動ドアが開き、外に出る。
ふぅー。
コーラ買ったけど、飲めるかな。
しばらく、炭酸なんて飲んでなかったからな。
まぁ、そのうちにでも、慣れるだろ。
と思ったとき、ふと隣の公園を見る。

ピヨピヨ。

小鳥が来てるなぁ。
さっき、買ったパンでもあげてみるか。
そう思い、コンビニの袋から食パンを取り出して、細かくちぎり、小鳥たちの前に散らばした。
小鳥たちは遠慮なく、食べている。
手懐けたみたいで、すごく嬉しかった。

ーあの声がするまではー
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