俺の彼女は、キスができない。
「悪い」
中原くんの顔は、真っ赤。
何分が経っただろう。短く感じたような、長く感じたような。不思議な感覚にみまわれた。
「はぁ…。はぁ…」
キスをしたせいか、少しだけ息が荒い。それに、顔も赤い。
私の目から、雫が零れた。
「え、あ、本当にごめん。泣かせるつもりじゃ」

分からなかった。
中原くんが私を好きならば、この人と付き合うのが一番だと最初に思った。
でも、私の中には。私の隣には。いつも、いつも、ゆっくんがいた。
でも!ゆっくんは、私をの秘密を知ってる。そんな人となんて、付き合えない。
「違うよ。嬉しくて、泣いてるんだよ」
「え?それじゃあ」
「うん。私たち、付き合おう?」
そう言った直後、またキスされた。
─んっ……っ………ぁ…─

そして、数秒後。
「当たり前だろ」
「そうだね」

今日は、恋が終わった日。そして、恋が始まった日。
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