風船のような
「…風船みたいだよな」

不意に後ろから呟かれた言葉に、真由は驚いて振り向いた。呟いた張本人はそんな真由の姿に笑いながら「悪い、遅れた」と頭を下げる。

「びっくりした。どうしたの?突然」

「や、お前見てたら何となく」

「空見てたし」とついでのように言ってから、明は真由の手を取ってニヤリと笑う。その笑顔に嫌な予感を覚えて逃げようとするが、残念ながら手を掴まれているのでそれも叶わない。

「こうしとけば飛んでかない」

「…馬鹿じゃない?」

「照れるな照れるな」

「照れてないっ!!」

そうだった、この男は平気でこういうことを言ってのける奴だった!
赤くなった顔を隠そうとしても、からかわれるとつい負けず嫌いが顔を出してしまい食いついてしまう。

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