風船のような
「…で、急に呼び出したのは?映画だっけ」

そういえば呼び出されたのはこっちだったんだと、遅れた明を睨みながら聞くと、当の本人は今気付いたかのように「あぁ」と言って真由の頭を撫でた。

「色々考えたんだ。そろそろかとも思ったし、まだかなぁとも思ったし」

「……?」

でもなぁ、とか、いやぁとか言って唸っている姿は軽く危ない人だ。何といってもここは公園で、今は二人以外いないけれど、いつ誰か来るともしれないというのに。

「明、話纏まってからでいいんじゃない?」

「真由」

「何?」

「………悪い、今日の映画のチケット家に忘れてきた」




「んの、馬鹿―!!!」

真剣な顔をしてるから何かと思ったら、そんなこと(いや、重要か?)を言うので、力が抜けると同時に怒りが込み上げてくる。

「悪いって。今から取りに行くからお前も来い。待ち合わせまたすんの面倒だし」

「お前が言うな!」

さっさとバイクを取って来いと背中を叩けば、「へいへい」と、更に怒りのボルテージが上がるような返事をして駐車場まで走っていく姿を見送りながら、真由は「人選間違ったかなぁ?」と呟いた。

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