風船のような
「明さん明さん」

「何ですか?真由さん」

「…ここは何処ですか?」

「区役所ですねぇ」

「そう、区役所………………何で?ねぇ何で?チケット家に取りに行くんだよね?そのはずだったよね?それが何で区役所?ねぇ何で?!」

はっきりいって訳が分からない。というか分からない所の話じゃない。

混乱しまくっている真由を他所に、明はいそいそと懐からある物を取り出して真由の手を引いて机のある場所まで連れていく。

「ほい、これ書いて?」



「明さん明さん」

「はいはい、何ですか真由さん」

「………どう見てもこれコンイントドケなんですけど」

目がおかしくなっていないならこの紙の上に書かれているのは『婚姻届』である。しかも白紙ではなく書き込まれていないのは真由の署名だけ。


意味が分からないと相手を見上げると、明はニヤリと如何にも何か企んでいますといった笑顔でこう言った。


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