明日も明後日も。
「思い出って、捨てるべきなの?」
「はあ?! 別れた?!」
「うん」
「いつ?!」
「一昨日」
「なんですぐ言わないのー?!」
そう言って、私の頬をつねるのは、高校の時からの友人、相原華恋(あいはら かれん)。
「華やかな恋」と書いて「かれん」と読む名前にふさわしく、とにかく可愛い。胸元まであるふわふわした茶色の髪に、大きな瞳と柔らかそうな唇は小さい顔に収まっている。
「そういう華恋は、彼氏とはどうなの?」
「ん? 昨日の朝、別れたよ」
「え、初耳だよ」
「あ、でも、昨日の夜に彼氏できた」
「……初耳だよ」
「初めて言ったもーん」
可愛い華恋は、彼氏ができたり、別れたり、またできたり。取っ替え引っ替えだ。
……私には、絶対にできない芸当だ。
「相変わらず、ビッチだね」
「あははっ! 明のそーいうとこ、好き!」
そう笑う華恋は、子どもみたいに可愛くて。
私もこんな風に笑えたらな、なんて思っているのは内緒だ。