明日も明後日も。

「映画、最近話題のミステリーで良かったですか?」

「うん。……悠人くんってミステリー観るんだね、意外」

「うわっ、失礼な。まあ、全然観ないですけど」

そう言って、悠人くんはタッチパネルでチケットの購入を進めていく。
「席、一番後ろ派なんですけど、いいですか?」と聞かれ、私は頷く。

「明さん好きそうだなって思ったんです」

「私?」

首を傾げると、悠人くんは「飲み物買いに行きましょ」と優しく笑った。
私がハッと財布を取り出そうとすると、そっと手首に手を添えて。

「ここは俺の奢りです」

「いや……」

「ランチは出してあげませんけど」

そう悪戯っぽく笑う悠人くんに、私は「ありがとう」という言葉が自然と溢れた。
悠人くんは、「ポップコーンは何味が好きですか?」と私の顔を覗き込む。

「……キャラメル」

「良かった、同じです。飲み物とセットのやつにしましょ」

楽しそうにそう話す悠人くんが不思議で。
自分との温度差を感じて、少し申し訳ない気持ちになった。

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