明日も明後日も。
タバコが、どんどん短くなっていく。
もったいない。
吸いたいのに、涙は止まらない。
抑えられない嗚咽。
ベンチの上で、体育座りをする。必死に涙を止めようとするが、私の体の水分が全部溢れているんじゃないかと思うくらい、涙が溢れて止まらない。
「明さん……っすよね?」
名前を呼ばれ、ハッと顔を上げた。
「うわっ、どーしたんすか?! え、ちょっ、タバコ?!」
「……悠人くん」
悠人くんは目をまん丸にしながら、私の隣に腰を下ろした。
「え、なんで……いつも、彼氏さんと帰ってますよね……?」
「なんで知ってるの……?」
「あー、実は俺、ここら辺で1人暮らししてるんですよ。それで、よく2人で一緒に帰ってるとこ、見てたんで」
「そ、そうだったんだ……」
「で? 彼氏と喧嘩……?」
……喧嘩だったら、いいな。
「……好きな人、できたんだって」
「は?」
「新しい好きな女の子、できたんだって。だから、別れようって」
「……まじ、すか?」
驚いた悠人くんに、私はタバコ見せる。
「むしゃくしゃ、してるの」
そう言うと、悠人くんは私からタバコを取り、地面へと捨てて、靴で潰した。