明日も明後日も。
「……これ、何本目ですか?」
「え……一本目……。というか、一口しか……」
そう答えると、悠人くんは「なら大丈夫か」と、安心したように肩を落とす。
「気持ちをわかるとは言えないですけど……。でも、タバコでその気持ちを抑える、なんて事に慣れちゃダメっすよ」
「……」
私は、タバコの箱をぎゅっと握る。
「話なら、いくらでも聞くんで。こんなものに、頼っちゃダメです」
「……なんで?」
「ん?」
「なんで……? 私なんて、愛想ない、可愛げのない女でしょ……?」
スタッフルームで言われていた言葉を思い出す。
『ってかさー、明(あかり)さんってほんと無愛想だよねー』
『まあ、仕事はできるけどねー。21の割には愛想がないよなー』
だって、愛想を振りまく必要ないじゃん。
好きな人だけだよ、そんなの。
昨日、隆に言われた言葉も思い出す。
『明のことは、嫌いになったわけじゃない。けどさ、明って何考えてるかわかんないっつーか……。ずっと笑ってるだけでさ、全然怒んないし』
好きな人の前では、ずっと笑顔だよ。
だって……一緒にいるだけで、幸せなんだよ。