はたして君は私の事を覚えているのだろうか?
そのまま走り出す

体が重い

ボールが思うようにコントロールが出来ない

視界がブレる

私の方が先にボールを貰ったのにもう抜かされそうだ

いつもだったらこれだけの差でボールが回ってきたら抜かされることなんてまず無いのに

本当に辛い

とうとうゆきに抜かされた

頭が痛い

喉が乾いた

気持ちが悪い

日に焼けた肌が痛い

海老名までがとても遠く感じる

あと少し、あと少しだから


私はやっとの思いで海老名にボールを渡す事が出来た

しかし1組と少し差が出来てしまった


私のせいだ、私のせいで

悔やんでももう遅い

既に体が思うように動かせない

立っていることも辛い

もう限界だ

せめて結果だけでも知りたい


私は海老名達に目を向ける

そこでは壮絶な1位争いが繰り広げられていた


後少しで海老名が成瀬を抜かせそうだ

しかし成瀬も負けじと限界までスピードを上げる


ゴールまであと数メートル

ついに2人が並んだ


ゴールテープはもう間近だった

そしてゴールテープが切られた

先にゴールしたのは……













私はそれを見届けること無く意識を失った


接戦の末に勝者が決まり校庭中は大騒ぎだった

皆がこのリレーにおいて壮絶な戦いを繰り広げた2人に夢中だった

それ故にその2人とは離れた位置にいる倒れた少女に気付く人は1人もいなかった
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