ひとりぼっち宣言!「残業、休日出勤引き受けます」
訳も分からず見つめられ、顔が火照り出す。


俯く私の頭にそっと手を置き、撫で始めた西さん。


「頑張り過ぎないでね、志田さん。上司が志田さんについ残業を任せてしまうのも、書類作りが正確で早いからだよ。だからつい、残業をお願いしてしまうんだよね。志田さんに対する上司の評価は高いよ?」


「……ありがとうございます。光栄です」


「でもね、志田さんが安請け合いで受けてる残業や休日出勤の内容だって、面倒くさい案件ばかりでしょ?
頑張ってる中、奴らはクリスマスを満喫してるんだよ?
明日は何食わぬ顔して出勤して、面倒な案件は終わってるんだよ?
馬鹿馬鹿しいと思わない?」


「……そ、そうも思いますけど、私は家でひとりぼっちで居たくないんです。クリスマス時期って何だか寂しくて。だから、つい……引き受けてしまいます」


西さんに心の中を読まれているようで、恥ずかしい。


ひとりぼっちで居るのは寂しいから引受はするが、心の片隅では馬鹿馬鹿しい事だとは思っていた。


その対価として残業代が多少出るとか、休日出勤手当が出るから良いか……とか。上司や同僚に頼られているのは嬉しかったし、悪い事ではないかのように思い込もうとしていた。


「俺も帰ればひとりぼっちだよ。手伝うからさ、早く終わらせて何処かに行かない?」


「……っう、行きたいですけど、クリスマスなのに私で良いんですか?」
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