だから何ですか?Ⅲ
最早、人の視線を感じるのにも慣れた。
その視線の中にはありがたい事に?女性の色めいたモノもちらほら。
勿論不審なモノもあれば無関心が大半。
今日も日本の社会は機能しているな。なんてことを思いながら、自分は無精にも他所の会社の建物に寄りかかって煙草を吹かしてどれほどか。
あの夜からさすがに数日は大人しく寝込んだ自分の身体は程々に万全で、満を持してストーカー行為に復帰して今この場にあるわけだ。
とはいえ、自分の会社は未だ病欠で休んでいる身分。
動けるようになったと言っても無茶を出来る程の回復状態とは言えず、熱が引いたのだってつい昨日の話で今日ここに来るのだって雛の目を盗んで抜け出して来ているのだ。
だって、本当の万全なら俺だって社会復帰をしなければいけないし、そうなるとストーカーと言える行為もままならない。
だったら・・・今動くのが一番好都合だろ?
そんなまったく悪びれぬ感覚で壁に寄りかかり煙草も2本目。
まだ出勤時間のピークよりかは早めの時間帯で目の前を通り過ぎる人波も少なく緩いと言えるだろう。
どこの会社にも自主的に勤勉な人間がいるもんだと、今の時間に出勤する人間を眺めて目で追っていれば。