だから何ですか?Ⅲ




「っ・・・あんの馬鹿・・・」


「だから『面倒くさい』と言ったんだ。そもそも助けを待ってる悲劇のお姫様は端から居ないんだよ」


「邪魔だって言ったのも全部!?」


「まぁ、そう見せかける必要はあって、自己犠牲全開に高城に近づいた方が隙は突きやすいからな。それに、実際下手に動いてまたお前や他の奴に影響が出るのを避けたかった」


「何でそういう理由を俺にも言わねえで~~」


「高城に脅されてたって言うのもあっただろうけど・・・多分、敵を欺くには・・・っていうやつだろうな」


「アホか!!そんな理由で『別れましょう』とか!!全部片が付いたとしても俺が本気で見切って嫌ってたらどうする__」


「実際、嫌ったか?」


「っ・・・・」


「見切って・・・諦めて・・・他の恋でも探したか?」


「っ~~~・・・」


「そうは見えないし・・・そうなってないから今こうしてここで憤ってる」



だろう?と意地悪く笑って指さしてくる姿には何も言い返せず、それでも悔しさでもどかしく眉根を寄せるとますます可笑し気に笑う声が鼓膜を擽る。


悔しいけれど・・・その通りだ。


全くもって嫌えなければ見切れもしない。


他の恋なんて論外だ。


亜豆の影を追う事しか頭になかった。


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