だから何ですか?Ⅲ
全ては亜豆の思惑のままに。
最後の最後まで『好き』だという言葉で繋ぎとめたのはこのためだったのかとも理解する。
それでもどこまでも残酷で卑怯な繋ぎとめ。
でも、そうと分かっていても・・・
「嫌われる不安はないのか?」
「・・・・えっ?」
「・・・俺が亜豆に問いかけた言葉だ」
不意に響かされた言葉は俺への質問ではなかったらしい。
驚いて顔を上げるも視界に捉えるのは伏せ目に思い出したように語る大道寺さんの姿だ。
「大胆な賭けをする女だと改めて思ったよ。好きな奴の為に好きな奴の嫌われ役に落ち込もうって言うんだから。・・・まぁ、そういう男前な奴だから俺も好きだと思うし言う事も聞いてやりたくなるんだけどな」
「・・・亜豆は・・・なんて?」
「・・・・聞くまでもないんじゃないのか?」
確かに・・・聞くまでもないかもしれない。
凡そ予測はつく。
それでも・・・、
「『伊万里さんは私を嫌いにならない。嫌われても好きでい続ける。また、好きになってもらう・・・それだけ』」
「っ・・・・」
「・・・だ、そうだ」
「・・・・っとに・・・・・」
「・・・・」
「ぶれねえ・・・、困る・・・、惚れ直す・・・」
「それが、亜豆凛生って女だからな」
ククッと笑う大道寺さんの声につられて口の端が上がってしまう。
確かに・・・それが亜豆だ。
どこまでも亜豆は亜豆のままで、
亜豆が亜豆のままである限り俺の好意も途絶えるような事はない。