だから何ですか?Ⅲ
エレベーターに乗り込みエントランスを抜けて、玄関前のロータリーには高そうな車と運転手が待ちかまえていた。
それに颯爽と乗り込む姿を目で追い、隣に乗り込んでいいものかと躊躇いつつも乗車する。
ばたりと扉が閉まれば絶妙な密閉空間に緊張してしまう。
いや、一応年下なんだよなこの人。
緊張する必要もないし敬語で話す必要もあるのか無いのか。
そんな事を思えど馴れ馴れしく離しかけられる雰囲気のお方ではないと自分の中に結論を打ち出し、なんとなく気まずい沈黙に堪えていたけれど。
「・・・あの、」
意を決して発した声かけに返答はない。
それでもチラリとこちらを見た視線が『なんだ?』と問いかけに来ていて、それを確認すると息を飲んでから、
「何で・・・協力を?」
今更な質問かもしれない。
協力してくれているんだから余計な事は口にせずこのままでも良かった。
それでもやはり一度は聞いておくべきだろうと抱いていた疑問を音にして響かせると、こちらにあった視線が静かに逸れて、本当に聞こえるか聞こえないか程の小ささで一息。
「借りと罪悪感」
「えっ?」
「・・・・高城が亜豆を的にしたのは俺のせいだから」
「・・・・・」
これは・・・予想外。
正直【借り】という言葉は薄々予想にあった。
でも、罪悪感の響きには只々驚愕に固まり詳細の説明を待つほかない。