だから何ですか?Ⅲ
車は恙なく夕闇の街中を走り抜ける。
信号で止まり、時折込み合った場所で低速し、それでも然したるロスはなくスムーズに。
どんどん変わる景観を窓の外に感じてはいるけれど、視線はずっとその手前に座る大道寺さんの横顔に固定されている。
あまりにも続きの言葉を弾く気配がないからもしかしたら語る気はないのかと少し戸惑いが生じ始めた頃合い。
「優等生をしたがる奴は大抵一番にこだわる小者が多い」
「・・・・・」
「高城が妬んで憎んで追い込んで蹴落としたかったのは亜豆じゃない。・・・俺なんだよ」
「何で・・・亜豆が・・・」
「・・・・俺の・・・唯一だったから」
「・・・・」
「俺が唯一関係を持っている、受け入れた奴だったからだ」
「亜豆・・・言ってました。・・・あなただけは信頼できる友達だって」
「・・・・友達・・・な」
『友達』という響きにチラリ一瞬緑の視線がこちらに走るも、すぐに外され最初の位置より背けられた。
まるで・・・
「【友達】なんて響きに括ってもらえるような奴じゃないのにな」
「・・・・・」
「一番必要な時に傍に居なかった。・・・壊されてるなんて知らなかった」
「・・・・なんで、」
「・・・・海外に行っていたんだ。高2になる時くらいからか」
ああ、そう言えば・・・、
亜豆からもそんな話を聞きかじった記憶がある。