だから何ですか?Ⅲ
「高城は人の良い顔を被ったプライドの塊だったからな。何に関しても一番である事にこだわっていたし、一番でなければ意味はないと思っていたような典型的な【優等生】だ」
「でも・・・一番にはなれなかった?あなたがいたから」
「・・・面白くなかっただろうな。どうやら中学までは有名校で首位独占で過ごしていたらしいし、容姿も端麗女性にもおモテになる。それを鼻にかけず男相手にも気さくで気配り上手で。それが、高校入試から出鼻をくじかれ、首位入学は叶わず入ってみれば毎度毎度2位の勲章」
「・・・・」
「何が一番面白くなかったのか。・・・俺が努力も見せず、もっと言えば首位も他人からの人気も【優等生】っていう物にまるで興味がないのに全てをさらりと掻っ攫ったって事があいつの恨みを募らせた」
「それは・・・逆恨みって言うんじゃ」
「そ、まともな頭で考えればその通り。結局は俺を越える程の力量を補えなかった努力不足とも言えて、俺個人にはなんの非もないんだけどな」
大道寺さんの言う通りだ。
この人には何の非もない。
この人も亜豆も、ただ自分を自分として生きていただけ。
大道寺さんは【努力も見せず】と言ったけれど、きっと見せていないだけでそこまで自分を高めた経緯があっての結果だろう。