だから何ですか?Ⅲ
それに劣るというのならより自分を高めるほかない。
負けていられるか。と奮闘し努力を増して望む結果を手に入れるしかない。
なのに・・・、
「性根が腐ってる・・・」
「そうだな。・・・同感だ。真正面から俺に立ち向かう勇気はない癖に、俺がいなくなった途端に得た優越に浸って、更には溜まりに溜まった鬱憤の発散に・・・亜豆を使った」
一瞬だ。
ほんの一瞬に、最後のたった一言に、この人の狂気が研ぎ澄まされて集中したと感じてしまった。
だって・・・悪寒。
ザワリと肌が鳥肌立って、こちらに向いていない緑の威圧に心底怯んで息も止まる。
ああ、そうか・・・、
この人も亜豆の事に関しては相当な憤りを高城に抱いていたのか。
「でも、・・・今までの間に仕返ししてやろうとかは思わなかったんですね」
「・・・・亜豆がまずそれを望んでなかったからな。むしろ・・・関わらずに済むならそれが一番だったんだよ」
「亜豆がそう言ったんですか?」
「あいつは自欲で動くことはそう無いからな。自分の為に仕返ししたいなんて欲もなければして欲しいとも思わない。そんな事をして更に憎まれ意識され記憶されるくらいなら【玩具が壊れた】くらいの感覚で意識から外れている方が楽なんだそうだ」
「・・・好きも嫌いも意識の範疇・・・か。・・・亜豆らしい感覚ですね」
「そんなあいつを突き動かさせるんだからお前は大物だな」
「・・・・」
そ、そうなのか?
そう言う事になるのか?