だから何ですか?Ⅲ
大物だと小さく笑って言われた言葉は素直に賞賛ととっていいんだろうか?
いや、多分賞賛であるんだろう。
この人が砕けた笑みでそれを言うのだから。
それでも、大物と言われても自分で意識した結果の賞賛ではないからどこかピンと来なくて。
それでも、この人が言うくらいなのだからそれだけ亜豆は俺の為だけには感情的で行動的で・・・。
ああ、それはちょっと・・・、
「なんか・・・己惚れたくなりますね」
「存分に己惚れてやればいい。その方があいつは素直に喜ぶだろうな」
「まぁ、その前に無事高城から奪還できればいいんですが」
問題はそこだろう。
こうして向かい始めてはいるけれどよくよく考えて何の勝算もなしに動き始めたような状況だ。
それでもこの人の中では何か計画あっての行動?
更に考えれば亜豆も何かを仕掛ける気満々にあそこに身を置いたんだっけ?
そんな疑問に包まれていれば、どうやらその疑問は表にダダ漏れだったらしい。
クスリと小さな笑い声に意識を引き戻され、視界に大道寺さんの横顔を映すと。
「亜豆の逆鱗」
「・・・はっ?」
「いや、高城の勘違いというか誤算と言うのか」
「えっと、どういうことですか?」
笑いながら、多分彼の中では完結された結論の響きには方眉を上げて小首を傾げてしまう。