だから何ですか?Ⅲ
「最初見かけた時は驚いたよ。・・・学生の時も綺麗だったけど、今は随分と磨きがかかったね」
「・・・パーティー用に着飾ってるからでしょう」
「フフッ、相変わらず無表情が標準装備なんだね。・・・それとも、昔の影響?」
「・・・・・」
「分かるよ。【あんな】時期があったんだから現在(いま)に綻びがあってもおかしくない」
「・・・・・」
「俺の力及ばず庇いきれなかった事は今も思い出すと責任を感じてね」
相も変わらず、ニコニコヘラヘラ。
黙っていれば自分に都合よく解釈してよく喋る事。
変っていない。
することは悪質なのに軽薄で爪が甘い。
相手が黙ってしまうのは自分に畏怖してだと信じて疑わないのはこの人の愚かしいところだ。
確かに過去に私は壊れたのかもしれない。
でも決してこの人に畏怖して壊れたわけじゃない。
あなたを恐いと思って傅いた事は一度としてなかったというのに。
でも、勝手にそう思いこまれるのは逆にどこか楽であった。
勝手に自分に恐れているのだと思い込んでくれるのはこの人の隙。
余計な部分に思考を巡らせてくれない方がどこまでもこちらとしては都合がいい。