だから何ですか?Ⅲ




「・・・・不細工・・だ、なんて・・・思わないで?」



ねっ?と口の端痛む唇に微々たる弧を浮かべてみせれば、切なげな表情にもフッと似たような弧を浮かべてくれた彼。



「・・・いい女しか見えねえ」



呆れたような眼差し。


相変わらず眉尻は下がっているけれど口元には弧を描いてくれていて、それだけでこちらの安堵を最大限に引き出してくれるのだから凄い。


今も昔も・・・私の救世主だ。


それでも、彼の顔にも施された手当を捉えて切なくなる。


大事には至らずともやはり何かされていたのだ。


震える手をなんとか持ち上げ、そっと彼の傷痕に触れて労わるように指先でなぞる。


そんな私の手にそっと彼が手を被せてきて、その温もりはこれ以上ない程心地いいけれど。



「・・・・痛そう・・・可・・哀想・・に」


「フッ・・・お前・・・どっちが、」



言い終わるより早く、言い切れずに感情が溢れたらしい彼の表情が苦悶に染まったのを一瞬だけ捉えた。


その一瞬の後はキツク強く抱きしめられて表情は見えず。


それでも、



「馬鹿が・・・可哀想な程傷だらけなのはお前だ」


「・・・・・・・舐めておけば・・・直りますよ」


「っ・・・馬鹿だ」



切なげな声音と縋るような抱擁と。


それに小さく笑い声を響かせてよしよしと弱々しくも頭を撫でながら言葉を発すれば、さらにキツク抱きしめられて詰られた。





なんて・・・幸せな詰り。






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