だから何ですか?Ⅲ
どこまでもラフな装い。
黒いロングのパーカーワンピースに頭からフードを被って、そのフードの隙間から長い髪がふわりと揺れる。
静かに院内から外へと身を出したその姿がこちらを向いたのは何の気なしだったのだろう。
だからこそ振り向いて捉えた俺の姿には一瞬でその目を大きく見開き言葉を失っていたように見える。
それでも、すぐに、
「っ・・・驚きました。何でいるんですか?」
「お前のせいだっつーの」
「はっ?」
「お前が面会謝絶とかして見舞いに来ても会ってくれねぇし、退院の時間知りたくても教えてくれねぇからこうして張ってたんだろうが」
「・・・・・・呆れた」
驚愕見せる姿に面白くないと表情を歪めながら近づいて、ここ数日の不満の内を曝け出すと目の前で見下ろす亜豆の額を軽く小突いた。
そんな俺に口をあんぐり開けていた彼女が心底感情を込めて『呆れた』と漏らす事には眉根を寄せて顔を引きつらせる。
「呆れた言うな。もっと感極まってキュンとしてろよ」
「いや・・・暇だなぁと・・・」
「暇な筈あるか!?それでなくとも自分自身の病欠で仕事押し押しだったっつーの、」
「だったら会社に行けばいいじゃないですか。お仕事大好き~でしょ?」
「大好き~なのは仕事よりお前じゃボケッ」
「っ______」
お・・・・
あらあらあら?
思わぬ形で・・・・これはしてやったりか?