だから何ですか?Ⅲ
そんな理由かよ。
面会謝絶も、フードも、下した髪も、つれない言葉や不愉快さえも。
俯き隠す仕草も・・・。
「・・・・ばーか、」
「っ____」
言うなり両手で掴んだのはフードの端。
掴んでグイッと引き寄せ、驚きに弾かれ持ち上がった顔にすかさず唇を深く強く押し重ねた。
当然、病院の前だ。
来院者から入院患者から職員までちらほら。
近くを通った婆ちゃんからはほのぼのした声で『あらまぁ』なんて声が陽気に満ちた風と一緒に流されて聞こえてきた。
数秒押し付けてほんの少し余韻を残す様に啄んで離れると、至近距離で捉える双眸は何が起こったのかと驚愕に満ちて瞬きを忘れている。
そんな目にクスリと愛おし気に笑う俺が映り込むのが感じられた。
「良い女だって・・・言っただろ?」
「・・・・・・」
「どんな化粧した顔より・・・そそられる」
「っ・・・・」
「それは・・・・お前の努力の勲章じゃねぇか。俺の為の努力の証に・・・何で恥じるんだよ?・・・何で・・・俺が引くと思うんだよ」
「伊万里・・・さ・・」
「だから・・・こうして見てるだけでいっぱいいっぱいなんだ。・・・あんま・・・可愛い事言って煽ってくれるな」
「っ_____」
ニカッと笑って見せた唇にすかさず下から唇を重ねられ、負けじと重ね返せば緩い隙間から『馬鹿』と小さく罵られた。