だから何ですか?Ⅲ


そんな姿を改めて再確認し安堵の息を吐くと自分の手をスルリと亜豆の指の間に絡めて軽く引く。


そのまま軽く一歩、



「元気なら尚のこと、・・・俺につき合ってくれない?行きたいところがあるんだよ」


「行きたい・・・ところ?」



つきあってくれない?と、問いかけの形であった筈なのに返事を待たずに亜豆を引いて。


それでも緩い引導力と歩調に亜豆が抵抗もなく寄り添い絡んだお互いの手は無理なく両者の間に下りている。


ああ、

こんな当たり前で些細な事がどれほど価値がある事なのか。



「どこに・・・行くんですか?」


「いいとこ」


問いかけてくる亜豆も、見せる表情は疑問ではなくどこか小さくの楽しげな笑み。


投げられた言葉に勿体振った一言を返すと、心地のいい陽気の中を久しぶりに素直な感覚のまま亜豆と並んで歩き抜けた。


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