だから何ですか?Ⅲ
開けた広場で2人並んで顔の角度も視線も上に固定。
亜豆と繋がっている手と反対の片手には途中寄り道した多種コンビニの袋が風に吹かれて小さくカサカサと音を立てた。
「・・・コンビ二スイーツを買い漁っている段階でもしやとは思いましたが」
「悪いな。サプライズが出来ねえ男で」
「サプライズ欲しさに一緒に居たことなんてありませんよ」
「不思議だよな。求められると煩わしいと思うのに、我欲を見せないからこそ何かしてやりたいって思っちまうんだから」
亜豆と付き合ってからはずっとそうだった。
天然のサプライズで驚かされるのはいつも俺の方。
思ってもみない無計画無計算のサプライズはどこまでも無垢であざとくて忘れられずに刻まれる。
そんな亜豆のそれには負けるんだろうけどさ、
「行くぞ、」
繋いだ手をクイっと引いて歩みを進めたのは三度目になる観覧車の乗車口。
平日の昼間のデートスポットは閑散としている。
それでも、小さな子供を連れた姿はチラホラ視界に映った。
そんなのどかな光景を横切って、するりと狭い空間に乗り込むと2人で向かい合って椅子に座った。