だから何ですか?Ⅲ
「・・・充分すぎる程・・・伝わってます」
「・・・・・」
「もどかしさも含め・・・自分がどれだけ求められて好かれているか」
「・・・・・まだ・・・足りねぇ」
「フフッ・・・私もです」
同じですよ。
そう告げるようにそっと両頬に這わせられた手の感触は酷く心地が良い。
その手の感触に甘えるように、片方の掌に唇を這わせて軽く啄んで。
そんな俺に熱っぽい表情にふわりと笑みを広げた亜豆が、
「だから・・・その時の出来る全てで好きだって伝えてください」
「・・・・」
「言葉でも、キスでも、抱きしめるでも・・・一粒のチョコレートでも」
「フッ・・・」
「・・・・・もどかしくても・・・半分は伝わってるんです。そこが重要でしょう?伝わらない半分に嘆くより伝わってる半分に出来得る好きを乗せてくれたらそれで満足です」
「相変わらず・・・欲がねえな」
「そんな事ありません。伊万里さんの事に関して私は他の誰よりも貪欲ですよ。じゃ、なきゃ・・・別れ際に『好きです』なんて残酷な言葉で繋ぎとめたりしないでしょう?」
確かにな。
その一言にどれほど悶えたのか。
どれほど苦しんで悩まされて壊れかけたのか。
愛おしさゆえに恨みかけた程に。
でも・・・
「感謝してるよ、」
今は揺らぎなくそう言える。