だから何ですか?Ⅲ





「俺を・・・繋ぎとめてくれていてありがとう」


「フッ・・Mですね」


「フッ・・・・茶化すな。本気で・・・感謝してる」


「・・・やめてください。泣きますよ?」


「もう充分に泣いてんじゃねえか」


「・・・・・こんな風に素直に泣けるのも・・・伊万里さんの前でだけですから」


「・・・・・・・煽るなバーカ」


「煽ってるんだ、バーカ」


「・・・・・」


「・・・・なんて、」



フフッと笑って見上げてくる表情は無垢で純粋な笑み。


屈託がなくて、今までの亜豆と違ってもっとずっと素直な。


ああ、そうか・・・これが本当の本質的な亜豆か。


やっと・・・触れられた。


そう思ってしまえば・・・・感極まった心情からの欲情。


それでも今度は余裕のない感情任せではなく、静かに味わう様に唇を重ね柔らかく抱きしめて。


背中にそっと這う亜豆の腕の力や爪の感触に心地いと浸りながら、出来得る全てを使って好きだと告げるように濃密な時間を再開させた。


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