だから何ですか?Ⅲ
見た目は何ら変わらない亜豆であるのにな。
不足していた過去の記憶も繋ぎ合わせてしまうとやはり今までとはまた印象が変わる。
少しばかり幼く無邪気に変化したと感じるのは俺が【お嬢ちゃん】であった亜豆を思い出したからなのか。
それとも、亜豆が色々な過去の清算をした事で本質を取り戻したのか。
どっちにしろより愛着がわいたのだから良い変化である事は間違いないのだけども。
なんつーか・・・・前以上に愛でたい。
そんな欲求が無意識に浮上しやすくなっていて、ソファを間に挟みながら背後から亜豆を抱きすくめると『何?』とばかりの大きな目が振り返ってこちらを見つめる。
「もう・・・なんか・・・可愛いんだコンチクショウ」
「あはは、伊万里さんこそ暇さえあれば『可愛い』とか『好き』とか連呼してますよ?」
「ああ、ああ、もう本当に末期ですよ、いい歳こいて恋愛に逆上せ上がった残念男ですよ。それでも敢えて惚気てやろうじゃねえか。俺の彼女死ぬほど可愛いんじゃ、コラァ」
「フハッ・・あはははは、馬鹿だ。馬鹿すぎて可愛い~」
「可愛く煽って笑うな。食うぞ」
俺のアホ発言に更に屈託なく笑って見せる姿に『食うぞ』なんて言いながら際どく晒されている素肌の肩にカプリと噛みつく。