だから何ですか?Ⅲ
「よ・・・・しゃぁぁぁぁぁ・・・終わった・・・」
疲労と開放感、達成感が同時に攻め寄せたような瞬間の第一声。
背伸びをし『あ~』っと抑揚のない声を響かせたのは閑散としたオフィスの一角。
シンッと静まっているその場所には現状俺の気配だけが強で、ちょっとした声も大きく響いてよく通る程静寂に満ちている。
人がいないのも当然の事。
今が土曜の午前中という本来であるならこの場に足を運ばずともいい時間帯だからだ。
何が悲しくて休日出勤・・・。
そんなボヤキをもう何度自分の中で呟いたやら。
それでも今この瞬間にその厄介事から解放されて、PCに映し出されている内容をメモリに移すと電源を落とした。
そんな頃合い、
「あ・・・終わりました?」
「んー、何とか。・・・ほい、これでクライアントのリクエスト通りに直ったと思うんだけど」
「すみません伊万里さん。向こうの担当さんも急に上司が意向変えてきたって慌ててて。しかもすぐに形にしろって言われたと私に泣きついて来て」
「いや、別に小田っち悪くないから。しかし、久々にこういう横柄というか横暴なクライアントにあたったよな」
「私もこの電話来た時相手の首絞めてやりたくなりました」
「あはははは、恐ぇぇぇ」
思わず笑ってしまったのは小田の憎々しいとばかりの表情と首絞めのジェスチャーにだ。