だから何ですか?Ⅲ
一応補足すればお互いに哀愁に満ちての会話ではなく、どこか冷静にすでに感情に切り目をつけての振り返りなのだ。
だからこそお互いの口元には小さく緩い弧が浮かび、重すぎない話だと理解している様にコーヒーを口に運ぶ。
少し温くなり飲みやすくなったコーヒー。
多分・・・俺と小田の関係がこれだ。
いつでも飲みやすい関係。
穏やかで、程よく楽しくて、お互いを理解し合って励まし合って。
良くも悪くもその熱さに驚かされたり振り回されたりしない。
その点・・・亜豆は未だに淹れたて熱々の飲むのに一瞬意識が必要なコーヒーか。
素直に飲みこめるのか、それとも驚く様な熱さが隠されているのか。
それがまた一緒にいて飽きない理由であるのだけども。
そんな事を思っていれば今この場では必要以上の笑みが自分の顔に浮かんでしまっていたらしい。
それを見逃してくれる小田でもなく。
「伊万里さん、顔が惚気てます」
「顔だけなら流せよ」
「どんだけ亜豆さんが好きなんですか?」
「ん~・・・測りきれないくらい?」
にっこりと堂々と惚気全開に言葉を返せば、あからさまに呆れたような表情で応戦してくる小田がいる。