だから何ですか?Ⅲ




小田の牽制は御尤も。


海音の当然の計らいと言うのか、この会社の秘書課に身を戻した亜豆。


相変わらずクール&ドライな秘書課の亜豆さんの印象は変わらないというのに。


何故だか前よりも少し柔和で、日に日にどこか色香と艶っぽさが増している気がする。


そんな亜豆に言い寄りまではせずとも意識全開の眼差しを向ける輩が増えているのは知っていた。


こうなってくると俺との関係が公であった事は少なからず牽制や威嚇効果があったわけだ。


まぁ、小田も言う通り、己惚れとかではなく亜豆は相変わらず俺馬鹿である事に変わりがないというのが一番の安心点と言えるか。


そんな事に思わず顔がほころべば出た杭を打つ勢いで遠慮のない突っ込みを入れてくるのが小田。


それすらも笑って流せるほど息は出来上がっているのだけども。



「小田は?俺以外でそういう甘~い匂いがほんわかな相手いないの?・・・てっきり三ケ月とそういう感じなのかと思ってたのに違ったみたいだし」


「だから、最初から三ケ月さんは違うって言ってたじゃないですか。あの人は本当に同士というのか、仕事の上でも尊敬してるし話を聞いてると勉強にもなるし。ひたすらにお互いの近況話して相談し合ってのお友達ですよ。・・・最近はもっぱら『雛 可愛い!!』の内容ばかりなんですが」


「・・・・そうなんだ、」


「伊万里さん、もの凄く毒でも食らったような複雑顔してますが」


「はい、思わぬ毒にあたった気分」



まさにだよ。

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