だから何ですか?Ⅲ
もう、何がどう巡ってそうなってしまったのか。
いや、きっかけは俺がぶっ倒れた事からの展開だろうけど。
今も鮮明に思い出すのは俺のマンションの部屋でギャーギャーと追いかけっこをしていた2人の姿だ。
何をどこを気に入ったのか、三ケ月の方が雛に執着を持ってひたすらに追いかけ始めたあの後。
なんとなく三ケ月と身内のそれには敢えて触れたくなくて軽く避けながら放置していたわけだけど。
何?
あいつらまさか真面目に出来ちゃたとか言う?
あまり自分から触れたくなくてどちらにも込み入った話は確認していなかったけれど、今の小田の話からすると出来たから故の『可愛い』なんだろうか?
ああ、複雑。
はぁぁ、と本気の溜め息を吐いて頭を抱えてしまえば、クスクスと笑う小田の声が鼓膜を擽る。
いや、笑い事じゃないんだけどな。なんて思いつつも、気が付けば自分も小田に笑顔を向けていた瞬間。
ああ、でも、
「・・・そろそろ行くわ」
ようやく時間の概念を思い出し、腕時計を確認すると椅子の背もたれにかけてあった上着を羽織る。
緩めてあったネクタイを締め直して、上着の内ポケットに入っている祝儀を確認すると残りのコーヒーを飲み干した。