だから何ですか?Ⅲ
小田にしても海音にしても、今日はやたら関係の前進を後押しされているような気がする。
でも同時に悪戯に不安をも擽られて。
そんな状況続きに苦笑いで頬を掻いていれば、ようやく会長の拘束から抜け出してきた亜豆がまっすぐに俺の方へと向かってくる。
結局、選んだのはドレスか。
ギリギリまで着物かドレスか迷っていたのを知っていて、今身を包んでいるのはダークグリーンの生地がベース、そこに黒レースが表面を覆うロングドレスだ。
胸元はベアトップでそこにショールを羽織っている。
そんな姿でヒールを響かせて近づき切ると、
「トラブルは解決しましたか?」
「なんとかね」
「お疲れ様です。じゃあ、私たちはそろそろ行きましょうか」
「だな、」
亜豆に促され、時間を確認すると控室を後にする。
最後に捉えたのは海音と麗生さんが楽し気に満足そうに笑い合う姿で。
「・・・・姉妹だよな」
「はい?」
「いや、麗生さんがあんな風に笑うのって初めて見たな。って。それって海音の前でしか気を許して無いからじゃん?」
「・・・私も麗生ちゃんもストイックな生き物ですからね」
控室を出たロビーまでの廊下の道なり、感じた感想を告げればあっさりと肯定し小さく口の端を上げてみせられた。