だから何ですか?Ⅲ


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「____さん、・・伊万里さん!」



少し大きめに響いた声でようやくの正気。


気がつけばPCの画面を見つめて呆けてしまっていたらしく、そんな俺を正気づかせたのは見せかけばかりは【呆れ】である小田の不安そうな姿。


これももう日課に近いな。と心の中で溜め息をつきつつデスクに頬杖をついていた体を椅子の背もたれへと預け直した。



「悪い、」


「大丈夫ですか?」


「・・・・用事、何?」


「いえ、・・・用事って言う様な用事は特に」



だよな。


知ってるよ。


知っていてその質問を投げる俺は意地が悪いのだろうか?


それともそう聞かれてもおかしくない程毎日のように俺の様子を伺う小田が悪いのか。


今も特別視線を絡めずPC画面を見つめる俺の表情に笑みはない。


冗談交じりの会話をするような気分でもなく、正直小田の誠意であろう気遣いも少し疲れる。


そんな感情からか吐きだした息は無意識であった。


無意識に重く僅かに眉根の寄った負の吐きだし。


そんな俺に尚気を奮い立たせて声をかける小田には賞賛すべきなんだろうか。



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