だから何ですか?Ⅲ



頼むからあまり突っ込まないでほしい。そう思う心情でさえお構いなしであるのか家族故なのか。



「驚いた。・・・まさかこれが理由?」


「・・・・・」


「仕事馬鹿のあんたが?・・・ぶっ倒れるくらい?」


「・・・・・」


「ちょっと・・・黙っててくれねぇ?・・・・・・・・頼むから、」



本当・・・自分でも驚くけど・・・まだ余裕がないんだ。


余裕がないんだって・・・今改めて知った。


話題に上がり思い出すだけで胸の奥が爛れて痛む。


過労の原因だってそれだ。


仕事が舞い戻ったからじゃない。


仕事に追われたんじゃない。


追わせたんだ。


そうでもしないと家に帰らない理由がなかった。


この家に帰るのがこの上なく苦痛で、いっそ違う部屋に移り住もうかとも考えていた。


でも・・・・それが出来なかったのも結局はさっきのリップと同じだ。







ふとした瞬間に・・・あの気配が戻るんじゃないかと淡すぎる期待。







結果は淡すぎて心が蝕まれるだけだった。



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