once again〜season2〜
「匠さん…大丈夫でしょうか…。私…」

「大丈夫。私の心配よりも和也君の方が心配だな。変に伝わってなければいいけど」

和也…あの子大丈夫かしら。
小さい頃から、長峰堂を継ぐのはお前だと言われ、英才教育を受けてきた和也。私は女だから、幸せを掴みなさいと、好きにさせてもらってきた。その私が力量のある匠さんを連れてきた事で、もしかしてそのまま匠さんが継ぐかもしれない、となったら…

「私は、如月に戻るつもりでいます。長峰堂にいるのは、あくまで和也君が一人前になるまで、と。それがちゃんと伝わらないと…」

「和也は、小さい頃から色んな事を我慢して今までやってきた。その事を考えると、あの子が可哀想…誤解してほしくない」

「えぇ、それは私も同じ気持だよ。美玲、早く行こう」

いつもより険しい表情で匠さんは車を出した。

「姉さん、どうしたの?」

「え?和也あなた…」

「ん?匠さんも何かあったの?」

知らないのか、いつもと変わらない和也が私達を出迎えてくれた。
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