once again〜season2〜

「失礼いたします」

そう言うと、葛城はいつもと同じ表情で、顔色一つ変えず言った。

「美玲様、私も長く美玲様を見てきております。有里華お嬢様同様に、いつもと様子が違う事ぐらい、分かりましたよ」

言葉が出なかった。
な、なんなの…
葛城って、有里華だけをいつも見てるんじゃないの？

「それは、当たり前ですよ。有里華お嬢様だけを見ておりますが、美玲様とのお付き合いも長いじゃないですか。必然的に、いつも様子が違う事ぐらい分かりますよ」

何も話をしていないのに、私の心の声が聞こえたのか、葛城はかけていたメガネを右手で押し上げると、口の端を上げ笑った。

「な、な、なんなのよ」

「ちょっと！葛城！それは失礼でしょ！」

私と葛城の間に入った有里華が、テーブルを叩いた。

「これは、私とした事が…、失礼致しました。美玲様が聞きたいと仰ったので、つい」

「だ、誰が聞きたいなんて言ったのよ！」

「え？そうじゃなかったんですか？それは重ねて失礼を…」

私が、何も言えないでいると、葛城は失礼、と言って有里華の後ろに下がった。