once again〜season2〜
「兄さん、話があるの…時間取れない?」

「ん?明日なら公休だから時間は取れるぞ?なんかあったのか?」

「聞いてほしいことがあるの…」

あの日、妹の涼香がいつにもなく真剣な顔をして俺が勤める病院に来た。
同期の陽が、めっちゃ暗かったぞと言っていたが、暗い所の話じゃなかった。
寝てないんじゃないのか?と思えるぐらいに顔色が悪かった。

そして、俺は次の日、涼香から告げられたんだ。
SEIWADOは継がない、って言うか、継げないと。

いきなり言われても、俺には青天の霹靂と言うものであって…
整理するまでに時間がかかった。

兄さんに回ってくるから話しておくね、それだけ言うと涼香は家を出て行った。

後になって分かった事だったが、本当は涼香はSEIWADOを継ぐ気があったらしい。
それが、親父の本音を聞いてしまい、自分じゃダメなんだと思い、姿を消したと。
ただ、その当時は何も知らされていなかったから、涼香の事をかなり恨んでいた。

医師としての勉強しかしていない俺が、いきなり経営が出来るのか?と。
周りも同じだったはず。

そんな俺が、特定の人を作る暇なんかなかった。

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